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成人矯正に高度な技術が必要なわけ

すでに歯に問題がある場合

成人矯正でもっとも問題となるのは、子どもに比べ歯に問題を抱えた状態で治療にいらっしゃる患者さんが多いということです。かつてはこういう問題が多いために成人では矯正治療ができないという認識が広まっていたものですが、現在ではすでにある問題を解決してから矯正に臨む、もしくはすでにある問題を矯正治療を通して改善していくというのが矯正治療のスタンスです。その問題の多くは、歯周病と歯の欠損となります。
歯周病については、歯周病の治療をしておくことで矯正治療は充分可能となります。歯周病は歯根が埋まっている歯槽骨という顎の骨を溶かしてしまい、骨という支えを失った歯がグラグラしてきたり抜けたりしてしまう病気です。一方で歯を動かすことにあたっては歯を動かす方向では骨が溶けていくことが必要です。ですから歯周病の歯を動かすと動くのは非常に早いのですが、動かした歯が安定しないということになってしまいます。成人の方で歯周病を持って治療にいらっしゃる場合は、かかりつけの歯科医院もしくは、当院2階の高橋歯科医院(リンク)等で充分歯周病の治療をおこなっていただくことが必要です。
また、すでに歯を虫歯や歯周病で失っている場合、もしくはどう頑張っても残すことができない(抜かなければならない)歯がある場合もあります。失った歯もしくは抜かなければならない歯の本数が、上下左右の4ブロックで一本づつであれば、矯正治療には大きなさまたげにはならないと思いますが、それ以上歯が無いもしくは抜かなければならないとなると、詳細な検討が必要となり、場合によってはインプラントやブリッジなどの補綴処置(歯がないところを補う治療方法)を検討する必要があります。インプラントは条件が整えば素晴らしい治療の選択肢となりますが、その分費用もかさみます。矯正治療に加えてインプラントを行なうとなると、治療費は高額になりますのでしっかりとした治療計画の立案をすることをおすすめします。

成長を利用できない

骨格的な原因のある上顎前突や下顎前突などの不正咬合の場合、子どものうちであれば成長発育を利用してその原因を治していくことができる場合もあり、それによって治療が簡単になる場合が多くあります。しかし、成人の矯正治療では骨格的な問題を成長発育を利用して改善することはできません。したがって、骨格が原因である咬み合わせのズレなどは全て歯をその分動かすことで治療することになります。従って歯を動かす距離もその分多くなることもあります。この際、歯をどのように動かすか、すなわち動かしたい歯を如何に理想的に動かし、動かしたくない歯を動かさないようにするかが治療の仕上がりや期間に大きく影響します。
また、歯を動かせる量には当然ながら限界がありますので、それを超える歯の移動が必要な場合は外科手術を併用した矯正治療が必要となります。しかし適用自体はそれほど多くなく、当院では年間2~4人程度の患者さんが外科手術を併用して治療を行っています。

歯の動き

成人では子どもに比べて歯の動きが遅いことがあります。例えば永久歯の生えそろっている中学生であれば、歯の動かし方はほぼ成人とは同じですが、成人の方が治療期間が長くなるということはしばしば見られます。そのため如何に効率よく歯を動かすかということはより成人においては重要な要素であるといえます。これは歯を動かすスピードを速めるというよりも、歯を動かす順序などに無駄が生じないようにするということと考えています。

装置への順応性

子どもにくらべ成人では装置に対する違和感が大きいということもしばしば経験します。いずれは必ずなれるでしょうということはできると思いますが、2か月くらい装置の違和感に苦しむ方もいらっしゃいます。いわゆる歯の外側につけるブラケットという装置で治療をする場合は、極力内側には装置をつけないようにして治療を行っています。それにより舌の違和感はほぼないといってよいのではないかと思います。一方で裏側の装置を選択する方もいらっしゃいます。その場合はやはり長い場合で1か月程度は発音にも影響がでることがありますが、その後は問題なく経過することがほとんどです。
また矯正治療による歯の痛みですが、これは個人差が大変大きいですがやはり子どもよりも痛いとおっしゃる方が多いかもしれません。ただし、痛みが原因で矯正治療を途中で中断したという方はいらっしゃらないので、楽観的に考えてもらってもよいのではないかと思います。

装置の選択

成人の矯正治療で、子どもの治療と大きく違うのは成人の社会生活の営み方が子どもとは大きく異るというところです。患者さんとのコンサルティングの中で話題になるところは、装置が見えてしまうことがどうかというところと、治療に必要なことの多いブラケット以外の付加的な装置がどの程度使えるかというところになります。
まずブラケットですが、最近ではプラスチックやセラミック製の透明度の高いものが審美ブラケット主流となってきています。これに白い樹脂などをコーティングしたホワイトワイヤーを使うことで安価に審美的な矯正治療を行なうことが可能になってきています。審美ブラケット自体は性能にはほぼ問題ないものが出てきていますが、ホワイトワイヤーはコーティングの分摩擦が大きくなり歯の動きがやや悪くなったり、コーティング自体がやはりはげてしまって長持ちしないという欠点があります。
裏側の装置については、最大の利点は見えないということです。しかし症例にもよりますが、表の矯正と同等の結果を得ようとすると治療期間が長くなることもしばしばあります。
マウスピースを用いて治療をする方法も、症例によってはしっかりとした良い結果をだすことはできますが、やはり適応度が症例によって随分異なるように感じています。

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